トラック運送業の運輸局監査とは

トラック運送は事業用自動車で公道を走って貨物を集配するため、交通事故はつきものです。ひとたび事故を起こせば甚大な被害が出ることは、貨物自動車が道路運送の主役となった昭和30年以降、大きな問題として認識されています。

 

そのため、トラック運送事業者が守るべき法整備が行われ、現在ではコンプライアンス遵守による輸送の安全確保ができない不適格事業者は事業継続ができないようになっています。

 

しかし、国土交通省がすべての事業者について法令違反を把握することは困難です。そのため、事故や違反などの情報をきっかけに、トラック運送事業者として適切な輸送の安全確保ができているかについて、トラック運送事業者を調査するのが「監査」です。

 

監査実施の結果、無認可車庫の使用や拘束時間超過などの法令違反が発覚した場合には、事業者、ときには運行管理者や整備管理者に対して行政処分や刑罰が科されます。

 

監査で実施されること

監査では主に次の3点が実施されます。

 

  1. 貨物自動車運送事業者の営業所などへの立ち入り
  2. 法令遵守状況の確認
  3. 事業者への質問

 

監査の実施機関

監査は社会的影響が大きい事故や違反が発生した場合、速やかに実施されます。このほか、輸送の安全確保が最も重要という観点から、主に、次の法令違反の疑いがある事業者に対して優先的に実施されます。

 

①運行管理者または整備管理者をまったく選任していない

 理由:輸送の安全に必要な運行管理や整備管理が適切に行われない可能性が高くなるた 

    め

 

②点呼をまったく実施していない

 理由:運転者の酒気帯びの確認や過労、睡眠不足、疾病状態の確認など安全な運転をす

    ることができないおそれの有無の確認ができないため

 

③事業用自動車の定期点検整備をまったく実施していない

 理由:車輪の脱落など重大事故の原因となりうる車両の不具合が発生する可能性が高く

    なるため

 

④運転者の過労運転にかかわる基準違反

 理由:運転者の過労運転等による事故発生の可能性が高くなるため

 

監査の重点事項

監査では、次の項目を重点事項として輸送の安全確保がなされているか調査されます。

 

  1. 事業計画の遵守状況★
  2. 損害賠償責任保険の加入状況
  3. 自家用自動車の利用、名義貸し行為の有無
  4. 社会保険等の加入状況
  5. 賃金の支払状況
  6. 運行管理の実施状況★
  7. 整備管理の実施状況★

 

★印をつけた事業計画の遵守状況、運行管理の実施状況、整備管理の実施状況については、事故とのかかわりが深い項目であるため特に重点的に調査されます。

 

※事業者の法令違反の内容や過去の行政処分等の有無により重点事項が変わることがあります。

 

監査で重点的に調査される最重要書類

監査で輸送の安全確保ができているか否かの判断材料となるのは、主に一般貨物自動車運送事業者に対して記録・保存が義務付けられている帳票類です。なかでも事故に直結する運転手の過労防止などの法令遵守状況が可視化される次の3つが重点的にチェックを受ける最重要書類となります。

 

  1. 乗務記録(運転日報)
  2. 点呼記録
  3. 運行記録計(チャート紙)

 

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